2007年9月23日日曜日

先駆け先輩について

この先輩はとにかく先陣を切りたがります。
彼は学校内の誰よりも早く起き、誰よりも早く登校し、誰よりも早く問題を解き、誰よりも早く昼食をとり、誰よりも早く帰宅します。彼は常に一番手でないと気が済まないのです。

高校時代、僕はこの先輩に目をつけられた事がありました。
先輩はいつも僕の先を歩き、僕より先にトイレの個室に入り、僕の自転車で先に帰宅してしまうのです。
嫌がらせはやがてプライベートにまで及び、僕は自宅でゆっくり休むことさえ、ままならぬ状態となりました。(気がつくと、先輩が僕の布団に入り込み先に眠ってしまうからです。)

彼の執拗な先駆けに疲弊した僕は自殺を考えるようになり、ある日ふらりと学校の屋上に向かいました。
フェンスから身を乗り出し、下の駐車場を眺めながら、痛み無く死ねる方法を考えていると、僕の背後から物凄いスピードで先輩が走ってきて、一瞬の躊躇もなくフェンスを飛び越え、そのままアスファルトに叩きつけられました。そう、先輩は僕の自殺さえも先駆けしたのです。

先輩は死にました。でも、そのおかげで僕は自殺を思い止まりました。

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