喫茶店で打ち明けられた。
どうやら、俺と付き合う前から複数の男と交際していて、本命の彼氏にそれがバレて面倒になったことらしい。
つまり、浮気相手は俺の方だった。
でも、そんなの信じたくない。
「だーかーらぁ。あんたとは最初から暇つぶしだったんだって。わかる?」
「何?1回きりで本気にしちゃったわけ?」
俺は千円札をテーブルに叩きつけ、傘も上着も持たず、土砂降りの店外へと飛び出し
本気だったんだ!チクショー!
ズシャアー!!
思いっきり転倒した。
傘を差した通行人が、俺を避けて足早に歩いて行く。
いてぇ、いてぇ…。
立ち上がる気力なんかない。
コンタクトもどっかに流れていった。
こうやって、顔を伏せたまま、排水溝に流されていきたい気分。
「あの、大丈夫ですか?」
暖かい声と同時に雨が当たらなくなった。
誰かが傘の中に入れてくれている…?
…あ、そうだ、お礼を言わないといけない。
シャツの袖で鼻水を拭いて、顔をあげた。
白いロングコートの女性…。
何だか天使に思えた。
「大丈夫ですか?立てますか?」
そう言って、差しのべられた彼女の手には
…ベーコン。